創業100周年によせてご縁のある方々よりメッセージを寄稿いただきました。
これらのお言葉を胸に、インワーワイヤードは新たな道のりへの一歩を踏み出します。
昭和運送株式会社
会長 高田一夫
株式会社文典堂
代表取締役 池田大
株式会社ビット89
進化系経営塾「寺子屋カレッジ」塾長
代表取締役 吉田健司
昭和運送株式会社
会長 高田一夫
当時、役職の無い「営業」とのみ名刺に記されていた斉藤義弘さんの会社、斉藤コード製造を初めて訪れたのは1990年頃だったと思います。
すでに本社工場は地方への移転を準備中で、古びた本社社屋と工場跡のペンペン草の生えている広大な敷地、その片隅には2台のメルセデスベンツと言う、優雅な会社ヤナー・・・と思いながらも、内心東京のど真ん中にペンペン草を生やしている経営者の顔が見てみたいと(これ本心)一営業の斉藤さんに、つい言ってしまった覚えがある。
時は、1987頃から始まったバブル景気の真只中、中小企業は人材不足に喘ぎ、同友会品川支部は、品川区とタイアップした中途採用者求人合同面接会『リチャンス』を開催、その企画の中心的な役割をしていたのが、斉藤さんと言う事で、彼とは度々お会いするようになりました。
そんな同友会活動の中でも注目を集めた活動の一つに、経営理念と経営計画策定があります。私が同友会に入会してから分かったのですが、私と同じ二代目経営で頑張っている私の小学校の同級生の姉Kさんが経営計画策定で急成長していたのです。その当時、しっかりした経営計画書を作成している中小企業はまれでした。そんなK社長の話を聞いた斉藤さんは自分で作った経営計画を見て下さいと、K社長と私に持ってきたのでした。それは経営計画書としては、初歩的なものでしたが、その内容は斉藤さんが抱えている諸問題と危機感の表れであり、会社の存亡をかけた戦いの始まりを予感させるようなものだったのです。その後1991年春にはバブル崩壊、しかし他人事のように思えたバブル崩壊が我々中小企業をもその渦中に巻込み、企業規模の大小を問わず銀行の貸し渋りで仲間の会社が倒産、また借入金が限度を超え苦境を訴える仲間や廃業が続出し多くの中小企業が淘汰され、本物経営者の企業しか残れない、大変厳しい経営環境の時代と成りました。
そして1994年私は同友会品川支部長に任命され、斉藤さんにはバブル崩壊後も依然として求人難の中小企業団体の重要な活動の一つ『共同求人委員会』の実行委員長、品川支部副支部長、そして私の退任後、品川支部長、南部協議会議長も務めて頂きました。
その一方、斉藤さんは1996年に社長に就任し経営計画強化、時代を先取りした企業体質改善に取り組み、社内組織改革、本社工場跡地の品川区へ売却、新社屋建設、新規事業インターネットビジネスへの取り組み、新社名インターワーヤードへの改称号等と矢継ぎ早の奮闘、いや孤軍奮闘が始まったようでした。
しかし、バブル崩壊以前より改善と改革を推進し、新たな時代に向けた企業創造を構築されてきた斉藤社長は、同友会においても高い評価を得、全国の中小企業経営者を集めた勉強会『中同協総会』や『経営研究集会』などより講演の依頼が殺到、まさに次代を担う経営者像として多くの経営者の羅針盤役を果たして頂きました。
多くの苦難を乗り越え100周年を迎えるインターワイヤードは、斉藤社長の本物経営者としての手腕の元、次代を担う経営陣はその先見性を磨き、自己研鑽に励み、品川区を代表する優良中小企業として、更なる発展と繁栄を遂げ、社員ひとり一人が幸せを感じられる会社創りに邁進されることを祈念いたします。
株式会社文典堂
代表取締役 池田大
100年前の1919年(大正8年)は、日本の産業が蒸気から電力に転換し、工業生産が大きく飛躍する時代である。斉藤義国氏が斉藤コード製造(現インターワイヤード)を創立し、電線の製造を手掛け、永い100年の歩みを始める年である。
日本には100年を超える企業が33,000社ある。その「長寿企業」は、全企業の2.2%にしか過ぎない。この100年は、戦争や経済危機、災害など厳しい環境を迎えた時期でもある。存続すら難しいビジネスの世界で、100年以上生き残るには強くしなやかな経営がなければできないと思っている。
私も大企業や中小企業の経営者の方とお付合いがある。しかし、会社が100年を超え、何代にも渡り事業承継された企業は稀である。良い会社で強みを持ち、経営者が勤勉に取組んでいても、30年から40年で廃業や倒産又は、M&Aなどで存続を諦めた企業を見てきた。では100年続く企業は何が違うのか。インターワイヤードの100年の歴史で、ある一時期をお付合いさせて頂いた視点から率直に書かせて頂いた。
90年代のバブル崩壊により日本全体が苦しんでいた時だった。インターワイヤードも例外ではなかったと思う。その厳しい中、四代目社長として義弘氏が就任する。この頃、義弘氏が主催する勉強会が縁で氏とのお付合いが始まった。義弘氏は、積極的に新しい事業や経営改革に取組まれていた。その一部、当時余り知られていなかった「ネットビジネス」を手掛けておられた。更に、それら新事業の他に、個人情報保護認証やISOの取得、企業コンプライアンスの確立、新社屋・工場の建設や社名変更、私募債の発行など多くを手掛けていた。遂には、IT企業の上場まで。リーダーとしての義弘氏の仕事は、「変革」の連続だったと思う。インターワイヤードのある取引先の方が「3年前に伺った時と、全く別の会社になっていた」と話していたのを覚えている。この義弘氏の才能が、「長寿企業」として存続してきた要因でもある。
しかし何故、インターワイヤードは「変革」に取組めたのか。多くの企業も「変革」には取組んでいる。私は仕事でインターワイヤードとの社員の方々と接する機会がる。本社のみならず桐生や岩手胆沢工場にも伺った。訪問先の担当者は勿論だが、初めての見る私に社員の方は自然に挨拶してくれる。大声を張上げ強制されたものではなく、ごく普通に感じのよい挨拶である。また、事務所や工場も整理整頓・清掃が行き届いていて、ゴミなど落ちていない。誰に、仕事の事を訪ねても親切で丁寧に説明を頂いた。良い企業文化・社風として根付いていると感じた。これが「伝統」の力だと思った。永い時間に確りと積み上げ、根付いたものが「伝統」だと思っている。この真面目で勤勉な社員さんが持つ「伝統」の力が、社長の「変革」をやりきる源泉だと感じている。非常に羨ましく感じられた。尚、私と同行する当社の社員には良い教育に繋がった。
また、「伝統と変革」だけでは「長寿企業」は出来ないと思っている。インターワイヤードは「同族企業」である。株式投資の専門家は「同族企業」は投資収益が高く、投資対象として常に注視しているそうである。それら「同族企業」には景気に左右されることのない長期的戦略と明確な事業を果たす企業理念が必然と備わっているとのことだ。只、この二つ以上に大切な条件があるそうだ。それは、良きリーダーがいること。良きリーダーとは、「家訓」や代々受け継がれる経営者としての「教え」が身についているという。投資家は、この「教え」が良き経営者を育み、良い組織を作ると言っている。それが、経営の変革や厳しい環境を乗り越えると説いていた。
先に上げた、義弘氏が取組んでいた「ネットビジネス」で、氏は得た知識や技術を地域の中小企業に対価を期することなく無償で紹介していた。また、地域と言えば、氏は地域活動の役割を請われることも多いが、常に全力で真剣に取り組んでいる。震災支援などで氏の名前を当たり前のように目にする。その事を氏が自慢気に語ったこともない。個人的に会社の話を伺うことがあるが、経営が苦しかった時でも、義弘氏から仕事の不平不満や社員への愚痴などを聞いたことが無い。また、氏は社員に起きた色々な出来事もよく覚えていて、常に関心を寄せている。経営コンサルタントの先生に、経営者に必要な条件を尋ねたところ、「自らを律し、奉仕する心」と教えて頂いた事がある。
なるほど、「長寿企業」には良き「教え」を持ったリーダーの存在が欠かせないということだ。良きリーダーは世代を超え「教え」を通して育まれる。私も経営者として末席にいる身として、義弘氏は経営者の先輩であり良き師である。義弘氏が若い時に亡くなられた父上齊藤義滋氏に一度お会いしてみたいと思った。ところで、岩手胆沢工場に伺った際に、案内役をしてくれたのは、義弘氏のご子息義之氏だった。入社後間もないにも拘わらず、技術や商品の説明をしてくれた。流石によく勉強されていた。世代を超えた「教え」を感じさせて頂いた。
最後に、同じ地域にインターワイヤードがあったこと、100年を迎えるこの瞬間に立ち会えたこと、義弘社長をはじめ、社員の皆様と関りを持つことができたことに感謝し、創立100年のお祝い申し上げる。さらに、これからの100年の始まりのインターワイヤードにも非常に楽しみで期待している。
株式会社ビット89
進化系経営塾「寺子屋カレッジ」塾長
代表取締役 吉田健司
この度は、貴社創業100周年、誠におめでとうございます。
日本では業歴100年を超える「老舗企業」が今年(2019年)、全国で33,259社に上り、世界でもダントツの1位とのこと。そのなかで、今年度100周年を迎えられる企業数は1,685社ですが、貴社もこの中の輝かしい1社ではないでしょうか。
かつて企業の平均寿命は30年といわれていましたが、最近では短命化しており18年ともいわれています。それだけ時代環境の変化に対応していくことが難しいということですが、貴社では1919年創業時から連綿と続けてこられた、社会インフラの「電線事業」に加えて、1995年にはネット時代を先取りした「マーケティングリサーチ事業」を他社に先駆けて事業化されるなど、常に進取の精神で積極的に社会の発展に寄与されながら、同時に自社の経営基盤拡充に注力されてこられたことに、心より敬服しております。
さらに次の100年を目指し、益々のご発展を遂げられますよう、お祈り申し上げます。